用語集

あ行

明渡裁決の申立て
土地収用法47条の3ほか
土地にある物件を移転させて、土地の明渡しを求めるために、起業者等が明渡裁決を求めることです。
起業者は、明渡裁決の申立てをしようとするとき、委員会に物件調書を提出しなければなりません。
通常、裁決申請と明渡裁決の申立ては同時に行われます。
なお、起業者から裁決申請があり、明渡裁決の申立てがされていない場合、権利者からも申し立てることができます。
明渡裁決
土地収用法49条
裁決の一つで、明渡裁決の申立てに対する応答です。
裁決書に書かれる事項は、明け渡すべき土地の区域、明渡しに関する損失の補償、明渡しの期限です。
明渡裁決があると、起業者は、明渡しの期限までに補償金を支払います。権利者は、土地にある建物などの物件を移転して、期限までに土地を起業者へ明け渡さなければなりません。
なお、権利取得裁決及び明渡裁決の両方があってはじめて、収用手続が完了します。
意見書
土地収用法43条ほか
権利者は、申請書類の写しが収用する土地のある区市町村において縦覧されている間、収用委員会に対して意見書を提出することができます。ただし、東京都収用委員会では、縦覧期間終了後であっても、原則として審理終了まで意見書を受け付けています。また、収用委員会が必要と認める場合は、意見書の提出を命じることがあります。
意見書の様式は自由ですが、日付、住所、氏名を記入・押印の上、できるだけ主張を明確に記載してください。
なお、意見書には、事業認定に対する不服など収用委員会の審理と関係がないものは、記載することができません。審理と関係がないものについては、記載がないものとみなされます。
審理と関係のある事項は、①収用し、明渡しを求める土地の区域、②土地や明渡しに関する損失の補償、③権利取得の時期や明渡しの期限です。

か行

価格固定日
(都市計画法70条1項、71条1項ほか
土地に関する損失の補償は、事業認定の告示の日を基準として算定され、この基準日のことを価格固定日といいます。基準日時点の土地価格に権利取得裁決の時までの物価変動に応じた修正率を乗じた額が補償金の額となります。
都市計画事業の場合は、事業認可の告示日が事業認定の告示日とみなされます。ただし、事業に長期間要することから、裁決申請をしないまま1年を経過すると、自動的に1年後のその時点が事業認定の告示日とみなされます。事業期間が終了するまでそれが繰り返されます。
関係人
土地収用法8条
収用する土地の借地権者や建物の借家人(建物の賃貸借による権利者)など、収用する土地や物件について、土地所有権以外の権利を持っている人をいいます。
鑑定命令
土地収用法65条1項ほか
収用委員会が補償額を算定する際、参考とするために、鑑定人に鑑定を命ずることです。
当事者の主張、現地調査等を踏まえ、必要に応じて行います。
起業者
土地収用法8条
道路や公園など土地収用法に列挙されている公共事業を施行する者をいいます。例えば、国や都道府県や区市町村などの場合があります。
却下裁決
土地収用法47条
裁決の一つで、申請が土地収用法の規定に違反するとき、裁決をもって申請を却下するものです。
協議の確認
土地収用法116条ほか
事業認定の後、裁決申請の前に、起業者と権利者全員との間で任意買収による協議が成立した場合、これに対して、裁決と同一の効果を与える制度です。
起業者が権利者の同意を得て、収用委員会に申請します。
現地調査
土地収用法65条ほか
収用委員会が審理等で必要があると認めるとき等に、土地又は物件を調査することです。
権利取得裁決
土地収用法48条
裁決の一つで、裁決申請に対する応答です。
裁決書に書かれる事項は、収用する土地の区域、土地に関する損失の補償、権利取得の時期です。
権利取得裁決があると、起業者は、権利取得の時期までに補償金を支払い、土地の所有権を取得します。
なお、権利取得裁決及び明渡裁決の両方があってはじめて、収用手続が完了します。
抗告訴訟
土地収用法133条1項
収用委員会が裁決した事項のうち、損失の補償以外について不服がある場合は、東京都を被告として、裁判所へ裁決の取消しの訴えを提起することができます。なお、訴えの提起ができるのは、裁決があったことを知った日から3か月以内です。
公告と縦覧
土地収用法42条、47条の4ほか
公告とは掲示などの方法によって、一般の人に知らせることをいいます。縦覧とは、書類などを誰でも閲覧できるようにすることをいいます。なお、収用手続においては、申請書類の写しを収用する土地のある区市町村にて公告の上、縦覧を行います。

さ行

裁決
土地収用法48条、49条ほか
収用委員の合議により行う、収用委員会の最終的な判断で、行政処分の一つとなります。裁決には、権利取得裁決明渡裁決、などがあります。
裁決申請
土地収用法39条
起業者が収用又は使用しようとする土地の所有権の取得又は使用権の設定のためにする申請をいいます。土地調書を添付して収用委員会へ申請することになります。
裁決申請請求
土地収用法39条2項ほか
土地所有者や土地に関する関係人(抵当権者などはのぞきます)は、収用委員会に対し収用の裁決を申請するよう、起業者に対して請求することができます。
ただし、収用又は使用の手続を保留(手続の保留)されている場合には、請求することはできません。
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再築補償率 建物の経年劣化等を考慮した現在価値を補償するために新築費用に乗じる割合です。
建物の構造(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等)や補修、修繕の実施状況等によってその割合は変わります。
事業認定
土地収用法16条、20条ほか
道路や公園など公益性の高い事業について、土地を収用するのにふさわしいものであることを、事業認定庁(国土交通大臣又は都道府県知事)が認定することです。土地を収用又は使用するには、まずこの事業認定が必要です。
支払請求
土地収用法46の2第1項ほか
土地所有者や土地に関する関係人(抵当権者などはのぞきます)は、裁決前であっても、起業者に対し土地に関する権利に対する補償金の支払を求めることができます。
ただし、収用又は使用の手続を保留(手続の保留)されている場合には、請求することはできません。
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指名委員制度
土地収用法60条の2第1項
収用手続の促進を図るため、収用委員会が審理または調査に関する事務を一部の委員に委任する制度のことです。
修正率
土地収用法71条
土地収用法第88条の2の細目等を定める政令16条
修正率とは、価格固定日から権利取得裁決の時までの物価変動に応じる修正を行うのに用いる数値です。
修正率の算定方法は、政令の定めるところにより、総務省統計局が小売物価統計のための調査の結果に基づき作成する消費者物価指数のうちの全国総合指数及び日本銀行が作成する卸売物価指数のうちの投資財指数を用いて一定の方式により算定します。
収用 起業者が、特定の公共事業のために、正当な補償の下、権利者の意思にかかわらず土地などを取得することをいいます。土地収用法では、土地の収用のほか、権利や建物などの収用についても規定していますが、このホームページでは便宜上、土地の収用についてのみ説明しています。
使用 起業者が土地などに使用権を設定することをいいます。収用とほぼ同様の手続により行われます。
審査請求
土地収用法129条、130条2項及び132条2項
収用委員会が裁決した事項のうち、損失の補償以外の事項について不服がある場合は、国土交通大臣(請求先:国土交通省総合政策局)に対して不服申立てができます。
なお、損失の補償についての不服を理由として審査請求することはできません。
また、申立てができるのは、裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から30日以内です。
審理
土地収用法46条ほか
起業者及び権利者の意見陳述の場を設け、裁決を行うのに必要な事項について、双方の主張を収用委員会として確認するために開催されるものです。
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た行

代執行
土地収用法102条の2第2項、行政代執行法
土地もしくは物件を引き渡し、又は物件を移転すべき者が、明渡の期限までに、それを実際に行わない場合などに、起業者の請求により、明け渡す義務を負う権利者等に代わって都道府県知事が強制的に執行する手続です。
この手続については、東京都においては、財務局財産運用部収用担当
【ダイヤルイン03-5388-2694】が所管しています。
調書
土地収用法36条~38条
土地調書及び物件調書は、収用しようとする土地とその上にある物件について、場所、面積、種類、数量、状況、権利関係等を明らかにする調書です。
土地調書は裁決申請書の添付書類で、物件調書は明渡裁決申立書の添付書類です。
収用委員会の審理を円滑に進めるため、起業者にその作成が義務づけられています。
起業者はあらかじめ土地、物件等の状況、権利関係を調査し、調書に記載して署名押印し、土地所有者関係人は立ち会った上で、記載内容を確認して、署名押印します。内容に異議のある土地所有者、関係人は、異議の内容を調書に付記して署名押印します。
土地所有者、関係人が立会い・署名押印を拒否するなどした場合には、起業者は、区市町村長に立会い・署名押印を求め作成します。
土地調書及び物件調書に記載されている事項については、記載内容が真実であるという推定力が与えられ、法定証拠となります。土地所有者及び関係人は、調書に異議を付記した場合又は調書の記載事項が真実に反していることを立証する場合を除き、記載事項の真否について異議を述べることができません。
手続の保留
土地収用法32条ほか
一定の事由がある場合に、起業者の申立てにより、収用又は使用の手続を保留することができる制度です。
手続保留された土地については、土地価格は固定されませんが、土地所有者や土地に関する関係人(抵当権者などはのぞきます)は裁決申請請求及び支払請求ができなくなります。
当事者訴訟
土地収用法133条第2項及び3項
収用委員会が裁決した事項のうち、損失の補償について不服がある場合には、起業者を被告として、裁判所へ訴えを提起することができます。なお、訴えの提起ができるのは、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内です。
特例申請
土地収用法44条ほか
土地所有者または関係人からされた裁決申請請求に基づき、起業者が収用委員会に対し裁決申請することをいいます。裁決申請請求があった場合、起業者は2週間以内に裁決申請を行わなければなりません。
土地所有者
土地収用法8条
収用や使用の対象となっている土地の所有者をいいます。
土地調書 詳しくはこちらをご覧ください。

は行

物件調書 詳しくはこちらをご覧ください。
不明裁決
土地収用法48条4項、5項
権利者の氏名等や権利の内容が確定できない場合などに、これらを不明として裁決するものです。この場合、補償金は供託されます。

わ行

和解
土地収用法50条ほか
裁決申請後において、補償金等の裁決事項について起業者と権利者の間で合意に達し、委員会がこれを認めることにより裁決をせずに収用手続を完結させる制度です。和解は、裁決があったのと同じ効果があります。
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